11月の言葉



(しも)()(ふう)(りん)(くれない)なり



霜を経て、

 

楓の林全体が 鮮やかに紅葉するように、

人もまた、

 

苦しい時を経て 大成するという意味を含んでいます。


経霜楓林紅は、「経霜楓葉紅」((しも)()(ふう)(よう)(くれない)なり)、

また

 

「楓葉経霜紅」(楓葉霜を経て紅なり)と書くこともあります。

 

その意味は、どれも同じです。

 


この句の出典は 不明で、

 

禅語 というほどのものではないが、

 

 

茶室に その一軸が好んで掛けられる理由の一つは、

 

晩秋の季節感豊かな 美しい句であることにあります。

 

 

然し、それ以上に大きな理由は、

 

 

   楓 が 厳しい霜を経過して、

 

はじめて美しく紅葉するように、

 

 

人もまた

 

人生のさまざまな苦労を経験し、

 

 

それをたえしのぐことによって、

 

はじめて立派な人物が出来上がる

 

 

という深い意味があります。

 


近頃の世相をみると、

 

人々のなかには 忍苦精進をきらって、

 

 

安逸(あんいつ)怠惰(たいだ)に流れ、ともすると節操(せっそう)を忘れて、

 

安易な世渡りにはしる傾向が 強いように見受けられます。

 


(ことわざ)に、「若い時の辛労(しんろう)()うてもせよ

 

(若い時の苦労将来のよい経験となるから、お金を払ってでも求めてするがよい)


艱難(かんなん)(なんじ)(たま)にす

 

(人間は困難な目にあって、これをやりとげて始めて立派になる)とありますが、

 

 

さんざん苦労して 出来上がった人格 というものは、

 

苦労知らずの人とは、一味ちがった深みがあります。

 



「経霜楓林紅」の一軸を

 

  単に晩秋の茶席向きの風雅な句として鑑賞するにとどめず、

 

この一軸の意味をよく理解して、

 

これを拝見したら、

 

その茶趣はさらに 一段と深まることと思います。

 


令和元年 11月 1日

 

                  日本三大渓谷・伊勢大杉谷 

        いのちの森建立勧進佛行 願主  こくけん もくらい 合掌


自然宗佛國寺:開山 黙雷和尚が、
行脚(徒歩)55年・下座行(路上坐禅)50年の修行から お伝えしています。

下記FB:自然宗佛國寺から、毎月1日掲載

 

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ありがたく感謝合掌しております  住持職:釈 妙円


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