3月の言葉




江国(こうこく)春風(しゅんぷう)()()たず

 

鷓鴣(しゃこ)()いて(しん)()()()


この詩は、『碧巌録』の「第七則 法眼、慧超 仏を問う」に出てくる句です。

 

「江国」⋯――中国の揚子江に臨んだ江南一帯は 

 

春三月のころともなると、

 

 山や野には うららかな春風がみち満ちて来ます。

 

 

その春風は とても(おだ)やかなもので、

 

吹いているのか 吹いていないのか、わからないほどです。

 

 

また、鷓鴣(やま)(うずら)の中国名)の鳴き声が、

 

爛漫と咲く花の(うち)から聞こえるが、

 

それも花が深く 

 

声はすれども姿は見えずといった風情である―――というのが

 

この句の一通りの意味ですが、

 

 

そこには、江南の水ぬるむ弥生三月の景色が、

 

そのまま 悟りの妙景 である との深い意味がふくまれています。

 



法性(ほっしょう)(一切の存在、現象の 真の本性)とか、

 

真理とかいわれるものは、

 

天地いたるところみち満ちていますが、

 

 

姿も形もなく、目には見えない

 

 

 

あることはあるが、

 

その本体は なかなかとらえることができません。

 

 

そういう妙味を、

 

春風や鷓鴣にことよせて 表現しているのです。

 



この詩は、人間の迷い煩悩というものが、

 

すっかり尽きてしまって、

 

 

人間の心に 

 

何の不安も恐怖も なくなってしまった 心の状況を、

 

 

江南の春の光景を かりてうたったものです。

 


令和2年 3月 1日

 

                  日本三大渓谷・伊勢大杉谷 

        いのちの森建立勧進佛行 願主  こくけん もくらい 合掌


自然宗佛國寺:開山 黙雷和尚が、
行脚(徒歩)55年・下座行(路上坐禅)50年 得たものをお伝えしています。


下記FB:自然宗佛國寺から、毎月1日掲載

 

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感謝合掌  住持職:釈 妙円


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